『わけありの美』 _葆光庵_巖手椀 中 溜

希少な国産漆100%の浄法寺漆器の「巖手(いわて)椀」と名づけられたお椀。巖の字が使われているのは「崖の上に神への祈りの文である祝詞を入れる器を二つ並べた儀礼を表している(白川静「字統」)」ことが由来です。厳しい自然の中で木を育て、漆を掻き、職人が数ヶ月の時間をかけて完成させたその風土から生まれたお椀という意味合いもあります。

人の「手」によって作られ、「手」で持つ器という意味も期せずして含まれます。

全国各地に漆器の産地は数多くありますが、使用される「漆」の産地は指折り数えるほど。岩手の浄法寺はそんな漆の産地のひとつです。

漆の木から漆液を採る「漆掻き」職人が朝から晩まで丹念に採った漆を、何回も塗り重ね丁寧に仕上げています。国産の漆がふんだんに使える場所ならではの、素朴でシンプル、堅牢な漆器。

日々、使うことで程よいツヤが生まれ、色合いや透け具合に表情がでてきます。漆器は生きている器。末永いお付き合いをお願いいたします。

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