【MAMUANG×TOHOKU 製作秘話】マッチ箱クリップ

「新東北みやげコンテスト」というコンテストがあります。2011年の東日本大震災から3年が経った2014年、少しずつ観光のお客さんが東北に戻りつつあるタイミングで地域の中小企業を応援しようと始まったものです。

その栄えある第一回の最優秀賞を受賞されたのが、今回マムアンちゃんのマッチ箱クリップを製作してくださった株式会社佐々木印刷所さん。「まちの印刷屋」を取り巻く環境は決して追い風ではありません。そんな中で自社の印刷技術を生かし、独自の工法を編みだし、また宮城のクリエイターやこけし工人とのつながりを大切にしながら商品開発を続けていらっしゃいます。 

第一回新東北みやげコンテストで最優秀賞を受賞した「マッチ箱マガジンプロジェクト」。宮城の温泉地を紹介するミニガイドと、各温泉地の銘産であるこけしをモチーフとした付箋紙が封入されている。

なんと社長の佐々木さんはマムアンちゃんを見かけるたびに「かわいいなぁ」と思っていらしたそうで、突然のご依頼にも二つ返事でOKしてくださいました。

今回マムアンちゃんのデザインで製作していただくことになったのは『マッチ箱クリップ』。ファイバー紙を型抜きしたクリップを小さなマッチ箱におさめた商品です。ファイバー紙とは、自然素材を元にしながらもプラスチックのような強度を持つ特殊な紙。これを用いてクリップを製作している会社はほかにもあるのですが、佐々木印刷所さんのすごいところは型抜きしたあとに印刷をするという特殊な技術を生み出したことです。

こけし工人さんとともに作った「ご当地こけしクリップ」シリーズ。繊細な絵付けも印刷で見事に表現されている。

どうやって型抜きした後でひとつひとつに印刷をしているのか……というところは、とっても気になりますが企業秘密。紙全体に印刷してから型抜きをするとズレが生じてしまうことがあるそうですが、この方法だとぜったいにズレがないそう。表と裏の両面に印刷することができるのもとっても魅力的です。
このような感じでタムくんにもどんな商品なのかをお伝えし、実際の製作が始まります。

まず行うのはマッチ箱とクリップ、それぞれのデザインを決定すること。ここにはなんと、タムくんの描きおろしイラストを使用させてもらえることになりました。そのイラストがこちらです!



なんの説明も必要ないかと思いますが、本当にタムくんのイラストと言葉には元気をもらいますね。マムアンちゃんを両面にするのではなく、裏側はメッセージになっているところが粋だなあと感激しました。


さっそく佐々木印刷所さんにデータをお送りし、サンプルを製作していただきます!そして届いたものがこちらです。

この段階ではファイバー紙の候補が白と黄色の二色。タムくんと相談の結果黄色に決定しました。

タムくんのビビッドな色使いの再現もばっちりです!しかも、作っている間にどんどん我が子のような愛着がわいてきたという佐々木さん。さらにこのポップなテイストが伝わるように表面にツヤツヤ加工をほどこしてくださったそうです。印刷のことを知り尽くしたうえで、クリエイターの表現したいことも汲んでくださるということ。仕事をする上で大切なことを教わったような気がします……。


さて、クリップの次はそれをおさめるマッチ箱。こちらもデザインが出来上がり、完成に向けて色味の調整を行います。

一回目の校正。やや沈んだ印象がするので、特に背景の黄色やマムアンちゃんの髪、靴の色をクリップの方に近づけられないかとの意見が。


佐々木印刷所さんから二種類のアイデア。微妙に黄色の配分が異なり、下の方がやや明るい。

 

最終的な決定稿がこちら!紙の種類も印刷の技法も異なるが、色合いがほぼ一緒に。

やり取りを繰り返し、ついに校了。この間、何度も直接お店に足を運んでくださった佐々木さん。直接お顔をあわせて相談させてもらえたこと、とても有難かったです。校了後は工場でどんどん製造していただきます。工場というとすべてオートマチックなイメージがありますが、マッチ箱クリップには「型抜き」「洗い」「組み立て」といった工程もあり、想像よりもずっと人の手を通して作られています。お手元に届いたら、マッチ箱がゆるすぎず・きつすぎず、気持ちよく閉まるように作られている点にも注目です。

佐々木さんが送ってくださった製作の様子。レーザーカッターでマムアンちゃんのかたちに切り抜かれている。

そして完成したマムアンちゃんのマッチ箱クリップが、こちら!



紙を束ねる用途のほか、ブックマークやラッピング資材としてなどいろいろな使い方のあるペーパークリップ。日々の暮らしの片隅にマムアンちゃんがいるだけで、明るい気持ちになれること間違いなしです。

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