「初めまして」をあたたかく。東北の名刺入れで新生活を軽やかに。

まもなく4月。初対面の人と打ち解けるのが苦手な私。それでも挨拶シーズンはやってきます。特に、仕事のなかで欠かせない「名刺交換」がおっくうな方は多いのではないでしょうか。

そんな中でも、手仕事で作られた名刺入れを1つ持っているだけで、随分と緊張がやわらぎます。

東北で作られた手仕事の名刺入れは、どれも長く使えるものばかり。織物、和紙、木材など、豊かな素材の名刺入れをご紹介します。

 

布素材の名刺入れ

COOHEM CARD CASE

もこもことしたテキスタイルがおもしろい、<COOHEM>のカードケース。ブランドを展開する『米富繊維株式会社』は、古くからのニットの産地である山形県山辺町の工房です。

形状の異なる複数の素材を掛け合わせる「交編(こうへん)」の技術から生まれた<COOHEM>の名の通り、装飾付きの特殊な糸を編み込んで作られます。

かわいい見た目とはうらはらに、内側は本革張りで仕上げられ、お財布のように大事に使いづづけられるアイテム。

革のカラーがホワイトなので重くなりすぎず、普段着にもあわせやすいカードケースです。

▶︎ COOHEM CARD CASE

 

QUEのカードケース

福島県の「会津木綿」を使った、薄くて持ち運びしやすいカードケースです。

会津木綿は「日本三大木綿」とも呼ばれ、100年近く前に作られた織り機を使って作られます。

なんと、あのトヨタ自動車が車を作る前に豊田式織機を製造していて、そのころの機械がいまだに現役なのだそうです。

旧式の機械は織り上げる密度が細かいため、薄さの割りにとても頑丈。タフに使えるカードケースです。

▶︎ QUEのカードケース

 

津軽こぎん刺し・南部裂織の名刺入れ

チクチクと糸を刺して模様を作る「こぎん刺し」と、古くなった布をアップサイクルして織り上げた「南部裂織」。どちらも青森県の伝統工芸品です。

青森では、寒い冬を乗り越えるために様々な知恵が生まれました。今では誰もが洋服を着ていますが、その昔は綿や生地がとても貴重でした。

「こぎん刺し」は、刺し子をした部分が防寒性と強度を高めるため、農家の作業着を強くするために生まれた手仕事。

「南部裂織」は、着古した服を細く裂いて、もう一度織り上げることで再利用するために生まれた手仕事です。

そんなストーリーから生み出される名刺入れを持ち歩いたら、心もあたたかくなりそうですね。

▶︎ 津軽こぎん刺しの名刺入れ

▶︎ 南部裂織の名刺入れ 

 

木材の名刺入れ

佐藤工芸  mokuhen  カードケース

一枚の木材をくり抜いて作られたカードケースです。特殊な技法で作られているので、他人と違う名刺入れを持ち歩きたい人に特におすすめです。

山形県天童市の佐藤工芸は、将棋の駒の製造や、旅館などの備品を製造してきたメーカーです。NC切削機を使った高い技術を活かして生まれたブランドが『mokuhen』です。

素材には、機械加工で出る「木片」を再利用しています。そのため、ウォールナット(くるみ)などの高級な木材でも、手頃な価格になっています。

木片はその時々で取れる数が変わってくるため、たくさんの製造はできないものの、木目にも個性があり一点もの。名刺交換にも自然と自信が持てそうです。

▶︎ 佐藤工芸  mokuhen  カードケース

 

冨岡商店 エイジング カードケース

山桜の樹皮を張り付けた「樺細工」のカードケースです。

東北の中でも有名な桜の名所である角館町の手仕事である樺細工は、樹皮を熱したコテで張り付けたあとに、磨き上げることで艶やかに仕上げる技術です。

写真左の磨きがかかったものが「無地」として一般的な樺細工ですが、写真右は磨きを抑えた「チラシ」の特別仕上げ。

樹の皮そのものの風合いが楽しめます。

しっかりとした硬さでラウンドに作られているので、スーツなどの胸ポケットに形よく収まります。

▶︎ 冨岡商店 エイジング カードケース

 

藤木伝四郎商店 重皮 名刺入れ

樺細工の技法を活かしながらも、本革との組み合わせを実現した名刺入れです。

樺細工の多くは、通常は箱などの外側として扱われることが多いものの、レザーと重ね合わせて縫い上げることで繊細に表現されています。

内張のレザーは4色で、ピンクやホワイトなどのトーンカラーが新鮮です。

比較的薄いので、持ち運びがしやすく、バッグが小さめの方にもおすすめです。

▶︎ 藤木伝四郎商店 重皮 名刺入れ 

 

和紙の名刺入れ

白石紙子名刺入れ こけし

和紙にポコポコと浮かぶこけしたち。色合いもポップで、古風ながらかわいい名刺入れです。

宮城県白石市には、「白石紙子 拓本染め」という和紙の仕上げの技術が継承されています。

版画のような「木型」に湿らせた和紙を張り付け、叩くことで型の絵柄を浮き上がらせる技法です。

紺色・黄色などの絵の具で浮き出た面に手作業で着色するため、かすれた雰囲気が味わいに。

白石市はもともと「白石和紙」と呼ばれる和紙の産地でしたが、現在は紙づくりの後継者が減り、再起をかけています。

「白石紙子 拓本染め」は白石和紙の生産が盛んだった時代に生まれた技術ですが、現在は白石産の和紙自体が少ないため、他産地の和紙を取り寄せて、拓本染めで仕上げています。

白石紙子が広がりを見せることで、和紙づくりも盛んになったら…。そんな想いと共に持ち歩きたい名刺入れです。

▶︎ 白石紙子名刺入れ こけし